HRTとピルとの違い


女性ホルモンといってもたくさんある。

女性ホルモン剤といっても”ぴんからきり”までたくさんあります。こんなに種類や量がさまざまな薬は他にはないと思います。婦人科以外の医師でもピルとHRTを混同している方もたくさんおられます。
ピルとはエストロゲンと黄体ホルモンの合剤で若い人の機能性子宮出血や避妊薬としても用いられています。ピルは生殖年齢最盛期に使う薬なので若い人のホルモンに見合うだけの量が入っています。エストロゲンの量で比較すると(詳しくはエストラジオールの量なのですが)ピル1錠に対しプレマリンなら約5錠、エストリオールなら100錠で同力価なのです。黄体ホルモンの方は比較しずらいのですが、HRTで使われるプロベラはピルよりずっと少ないことだけは確かです(子宮内膜に与える作用から比較すれば約15分の1)。しかし、このピルより、まだまだずっと強い薬あります。頂点は手術後の止血剤として使うものや前立腺癌の治療薬として使われるエストロゲンはHRTのものと比べ何百倍も違い、乳癌、子宮体癌の治療薬である黄体ホルモン(ヒスロンとプロベラ)があります。HRTで使用するプロベラは2.5mg、乳癌、子宮体癌のプロベラは200mgなんと80倍ちがいます。それも一日量だと何百倍も違います。 同じ薬でも用途によってこんなにも違いがありますが、素人はみな女性ホルモンとかたずけるから誤解が生じます。その上にHRTで使用する薬の中でも貼付剤エストラダームのようにつよいものからエストリオールのようによわいものまでいろいろあります。


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